グランドカノニカル分布

ふと友人から言われて勉強しなおしたので一言。

グランドカノニカル分布では、確率は粒子数に対してexp(N\beta\mu)の形で線形に依存している。この時、\muの値には全くN依存性がない。
状況設定をよく把握せずにこの式を解釈しようとしたらここで引っかかってしまった。つまりこういうミスだ。

ある系の粒子数を変動させることを考える。この時、最初の粒子数から次の粒子数に移るときは、化学ポテンシャルの値はある初期値\mu_0をとっているだろう。
しかし、粒子数を変動させるに連れて、系の様子もどんどん変化していくのだから、\muの値も徐々に変わっていくはずだ。
よって、確率が粒子数に比例するのはおかしくて、本当は積分系で書かれるべきだ。

このミスが起こったのは、グランドカノニカル分布が「粒子浴」と隣接しているという状況にあることを失念していたからだと思う。
\muの値は系の特質ではなくて、非常に巨大な粒子浴の性質なのだ。あまりに巨大なので、系に出入りする程度の粒子数では化学ポテンシャルは変化せず、
一定として扱ったとしても問題はなくなっている。

グランドカノニカル分布は、導出の際の設定と、実際の応用の仕方がカノニカル分布の場合以上に直感に反しているので、
こうした勘違いが起こりやすいのではないかと思う。