大学院での給料のこととか

前回の記事で書いたように、私は外部からの奨学金をもらうことはできませんでした。といっても絶望的な状況ではありません。アメリカの大学院では自給自足できるだけの給与をもらう仕組みがいろいろとあるからです。今回はそれらについて紹介したいと思います。

例によって注意ですが、これから説明するRA,TAの状況は研究分野ごとに結構異なるようです。よって、自分の専門分野の実験化学、実験物理、理論物理については確かな状況を説明できますが、それ以外の分野(コンピューターサイエンス、航空宇宙、数学etc.)については状況が異なる可能性が高いです。自分の分野について詳しく知りたい方は該当する方の体験談などを探してみてください。

1.Research assistant(RA)
実験化学、実験物理でおそらくもっとも一般的と思われるのがRAです。研究室に所属し、研究を行うことで給料をもらいます。だからといって特段負担が増えるというわけでもないということなので、RAとしての生活は(給料の額が少ないかもしれないことを除けば)奨学金をもらっている場合と対して変わらないようです。授業料もカバーされるので、その点も心配いりません。
注意点としては、RAの給料は直属の指導教員からもらうため、研究室を変わりたい場合にはゴタゴタするかもしれません。また、人によっては予算が足りずRAとしての給料を払うことができない場合もあるそうなので、この点については事前に確認が必要です。

2.Teaching assistant(TA)
RAと並んで一般的なのがTAです。学部生向けや大学院生向けの授業のTAを担当することでお給料をもらいます。負担は授業によってまちまちですが、一般的には学部生向けの授業のほうが負担が大きくなることが多いようです。
理論物理は人を雇うための予算が実験系に比べると少ないようで、RAではなくTAで食い扶持をつないでいる大学院生が多いです。カリフォルニア大学バークレー校で理論物理をやっている知り合いの場合は、1年2学期のうち1学期はTAをし、もう1学期はRAをするという形で給料をもらっているとのことでした。

3.School/departmental fellowship
最後になりますが、優秀な場合は大学や学科からfellowshipをもらうことができます。これらのフェローシップは大抵2年や3年などといった期限付きで、最初の数年間をTAやRAの心配をせずに過ごすことができます。また、上記のようにRAを雇う余裕がない研究室でもfellowship付きの学生ならば受け入れて貰える可能性が高くなります。
fellowshipの難点はもらえる人数が少ないことと、もらえるかどうかが事前にはほとんどわからないことです。私もバークレースタンフォードからはそれぞれ2年、3年のフェローシップをもらえましたが、ノースウェスタンからは何ももらえないなど、なかなか予測不可能な結果となりました。

以上いかがだったでしょうか。ちなみに私はバークレーの理論物理に進むことを決める際に指導教官(予定)と相談し、2年間はフェローシップ、2年間はRA、1年間はTAという内訳で給料をもらうという話になっています。